一人親方労災保険が90秒でわかる
建設業の一人親方労災保険の特別加入制度について説明します。
労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度です。
しかし、労働者以外でも、その業務の実態、災害の発生状況などから、労働者と同じ程度に保護することが必要な一定の人がいます。
その人たちの中でも、建設業に従事する一人親方さんは、特別に労災保険に任意で特別加入することを認められています。
これが「特別加入制度」です。
要約すると「特別加入とは、労働者ではない個人事業主が労災保険に任意で特別に加入することができる」制度です。
特別加入を希望する建設業に従事する一人親方さんは、以下をお読みいただき、労災保険の特別加入制度についてご理解いただき、一人親方労災保険に特別加入してください。
建設業とは?
建設業とは、土木、建築、その他工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊もしくは、解体またはその準備の事業を指します。
※ 保守、点検、修理、メンテナンス、検査、工場内での製作のみに従事されている場合は建設業に該当せず、補償対象外となります。
一人親方等とは?
一般的に、一人親方等とは弟子を持たずに一人で仕事をする個人事業主を指す言葉です。
一人親方等とは以下の1~3のいずれかの方を指します。
1.労働者を使用せず、会社に雇用されずに個人で仕事を請け負っている方。
2.労働者を使用していても使用期間が年間100日未満見込みの方で、請負契約で仕事をしている方。
3.同居かつ同一生計の家族のみで請負契約で仕事をしている方。
この一人親方等のうち「等」に含まれる方が同居の親族を指しています。
労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」といいます。)でいう建設業の一人親方等とは、建設業に従事する個人事業主およびその同居の親族をいいます。
一人親方さんが個人事業主であっても、株式会社のような法人であっても同居の親族だけで仕事を請け負っている建設工事に従事する一人親方さんとその親族は、特別加入することができます。
建設業の一人親方さんで従業員を雇っている場合は、労災保険がおりないと言われる専門家もいます。この説明は、半分はあっていて半分は間違っています。
建設工事現場で作業をする従業員を雇っている場合、建設業の一人親方労災保険に加入していても労災保険の補償を受けることができません(加入することは自由です)。
ただし、パートで事務員を雇っている場合は、一人親方さんが労災保険に特別加入していれば、建設工事現場でケガをしたとき労災保険の補償を受けることができます(事務のパートさんには、事務所の労災保険をかけておく必要があります)。
建設業の一人親方さんは工事現場で建設工事に従事していることが労災保険に特別加入する要件となっています。
労災保険法でいう建設業の一人親方労災保険は、任意で加入することができる制度です。
任意ですから、建設業に従事していなくても労災保険に特別加入することができますので、この点は注意が必要です。
一人親方や株式会社などの役員等は、労働者を保護する労災保険の対象外となります。
そのため、建設現場での労働災害についての補償がありません。
特別加入していない場合、建設現場へ入れないことがあります。
通常の労働者であれば、現場仕事でのケガは「元請の労災保険」を使いますが、一人親方は労働者ではないため、元請の保険も使えないのです。