外国人も一人親方労災保険に加入できるの?加入条件と在留資格

近年、街中の建設現場でも、外国人労働者をよく見かけるようになりました。
これは、外国人労働者が建設業界に増えているということ。
皆さんの身の回りにも外国人の同僚はいませんか?
これから一人親方になる外国人の方も、外国人の一人親方労災保険の加入について参考にしてみてください。
1.どうして外国人労働者が増えているの?
近年、日本人の労働者不足を解消するために、外国人労働者が増えています。
厚生労働省による令和3年10月末時点の「外国人雇用状況」の届出では、外国人労働者数は過去最高を更新しています。
増加率は対前年で下がっているものの、労働者数は右肩上がりです。建設業界にも、その波がきています。
これは会社に所属する労働者に限らず、外国人の一人親方も同様です。
では、どうして外国人の一人親方は増えているのでしょうか。
要因①技能者の「一人親方化」
その要因のひとつとして、建設業界で問題視されている「一人親方化」が挙げられます。
企業が、負担しなければならない社会保険料等の法定福利費のコストカットのために、社員を一人親方として独立させているのです。
これは「偽装請負」や「偽装一人親方」と呼ばれ、問題となっています。
部分的ではあるものの、外国人の一人親方が増える一因と言えそうです。
要因②外国人への就職サポート
もう一つの要因として、外国人への就職支援があります。
日本人の労働者不足を補うためには、外国人の労働者を受け入れなければなりません。
外国人が日本で働き始めやすいように、国や民間の団体が積極的に外国人の就職を支援しています。
例えば、外国人留学者へのインターンシップの実施や就職フェアの実施が挙げられます。
外国人受け入れの体制が整ったことも、外国人の一人親方増加の背景にあります。
2.外国人の一人親方でも労災保険に加入できる?
日々、一人親方労災保険について様々なお問合せをいただきます。
「外国籍でも加入できますか?」というお声も、そのひとつです。
労災保険には、加入者の国籍による制限はありません。
ただし、外国人の一人親方労災保険加入には条件があります。
それは、在留資格が必要ということです。
3.在留資格と注意点
在留資格とは、外国人が日本に在留する間、一定の活動を行うことができること、
または、一定の身分や地位を有する者としての活動を行うことができることを示す法的な資格のことです。
在留する目的によって、在留できる期間も異なります。外国人が日本に来る際は、在留資格を取得しなければ入国できません。
在留資格には様々な種類がありますが、外国人の一人親方の場合は「日本で働くことが許可されている在留資格」を持っている必要があります。
では、具体的に「日本で働くことが許可されている在留資格」とはどのようなものでしょうか。
ポイントとなるのが、「就労に制限があるか」です。留学や観光などの短期滞在の場合は、そもそも就労が認められていません。
就労が認められている在留資格の中で、一人親方の業務をすることができるかどうかを判断する必要があります。
中でもご注意いただきたいのが、平成31年4月より加わった「特定技能」という在留資格です。
許可業種には、建設業も含まれています。しかし、「雇用形態については、フルタイムとした上で、原則として直接雇用する」とあります。
直接請負契約を結ぶ一人親方とは、少し様相が異なります。就労可能だからといって、一人親方も大丈夫とは限りません。
外国人の一人親方の場合、「請負契約」でも問題がないか必ず確認しましょう。
在留資格は、その種類のほかに取り扱いにも注意が必要です。
個人や会社が外国人の一人親方を雇う場合、業務内容が在留資格の範囲内か、在留期間内であるか確認する義務があります。
うっかりだったとしても、この確認を怠ると処罰の対象です。同様に、一人親方として働く外国人も注意する点があります。
特に「有効期限切れ」には要注意です。不法滞在・不法就労とならないように、しっかりと管理しましょう。
また、在留証明となる在留カードは、常に携帯することが法律で義務づけられています。必ず持ち歩くようにしましょう。
4.一人親方労災保険に加入するには
一人親方として働ける在留資格を持っていれば、外国人だから…と気負う必要はありません。
日本人と同様に、労災保険の特別加入団体で手続きをすれば、特別加入することができます。
一人親方労災保険RJCでは、外国人の一人親方様、大歓迎です。インターネットから、かんたんにお申込みいただけます。
加入時には、在留カード(両面)または特別永住者証明書(両面)をご用意ください。
※在留資格につきましては、複雑なルールがあります。ご加入いただけるかどうかは
在留カードをこちらで確認する必要があります。ご心配の場合はまずは、在留カードの写しを当団体までメールまたはfaxお願いいたします。
また、日本名で加入者証が欲しい方にも対応しています。その場合は、在留カード(両面)と日本名が記載されている運転免許証等の公的証明書をご用意ください。
5.まとめ
人材不足が深刻な建設業界では、今後も外国人労働者が増えていくことが予想されます。
外国人の一人親方も一緒に働く方々も、万が一に備えて労災保険の加入を済ませておきましょう。
それでは、今日も一日 ご安全に!