一人親方の自己診断活用 1割に届かず(2023/6/8)
国土交通省が一人親方の働き方を確認する「働き方自己診断チェックリスト」の活用状況を調べたところ、「ほとんどの工事で活用している」とした事業者が全体の1割にも満たないことが分かった。7割の事業者はチェックリストがあることさえ知らなかった。国交省は、チェックリストの周知と活用を促進し、偽装一人親方による社会保険加入逃れなどを防ぐため、一人親方の働き方とチェックリストに関する説明会を全国10都市で開く。2023年度はこの他、一人親方本人に対する実態調査も新たに実施するとしている。
チェックリストの活用状況調査は、建設業許可業者の中から、一人親方をよく従事させている事業者1644社を対象に実施した。このうち「ほとんどの工事(8割以上)で活用している」と回答した事業者は全体の7・7%と1割に満たなかった。さらに「チェックリストを知らない」とした事業者は全体の68・6%と約7割にも上った=グラフ参照。
チェックリストは8項目からなる。項目にはそれぞれ二つの回答が用意されており、技能者は、自分の働き方に当てはまる方を選ぶだけで、実態としての自分と事業者の関係が雇用(社員)または請負(一人親方)のどちらにあるべきかを容易に判定できる。
国交省では2022年4月に、一人親方対策を強化するための『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』を改訂した。社会保険加入を逃れるため、実態が雇用労働者であるにもかかわらず、事業者が技能者を一人親方と偽装して働かすことがないよう、一人親方の目指すべき姿とともに、チェックリストの活用を新ガイドラインに追記。元請けから下請けへの指導も含めて、一人親方の働き方の適切性を確認するよう事業者に促してきた。
一人親方の働き方とチェックリストの説明会は、7月4日のさいたま市(関東地方整備局)を皮切りに、▽10日―高松(四国地整)▽21日―那覇(沖縄総合事務局)▽28日―札幌(北海道開発局)▽8月7日―名古屋(中部地整)―で開く。時間はいずれも午後2時から。残る仙台、新潟、大阪、広島、福岡の5都市については、日時、定員、会場など詳細は未定。
対象は一人親方、一人親方と契約している事業者など。参加人数は1会場当たり50人程度。参加申し込みは先着順で、上限に達し次第、締め切る。参加希望者はURL(https://www.ari.co.jp/hitorioyakata/)から申し込みが必要。
提供:建通新聞社