労働者と同一現場に従事 注文者が一人親方保護(2024/5/2)

厚生労働省は、危険有害作業に携わる個人事業者(一人親方ら)を対象とした、労働安全衛生法に基づく保護・規制措置の考え方をまとめた。
建設工事を請け負わせる発注者や元請け、上位下請けなどの「注文者」に保護措置を求めるのは、雇われて働く労働者と個人事業者が同じ場所で就業する場合とする対応案を示した。
個人事業者自身に措置を求める場合については、安衛法の枠組みを超えるため、ガイドラインに規定する。

4月26日に開いた労働政策審議会の分科会で示した。
建設アスベスト訴訟の判決で示された判断を踏まえた内容となっている。
既に労働者を使用する「事業者」に対しては、同じ場所で個人事業者が就業している場合の有害業務や危険防止の措置を求めている。

今回、残る論点として、
 ▽発注者や、労働者の有無を問わず注文者の立場にある者
 ▽機械リース業者など注文者以外の立場で労働災害リスクを生じさせる者
 ▽個人事業者自身
による健康障害の防止、危険の防止について、制度面での手立てを詰めることにした。

注文者やリース業者などに個人事業者の保護を規定する場面としては、「労働者と同じ場所で就業する場合」を提示。
ただし、異なる場所で就業する場合であっても、注文者の注文に関わる作業場所、作業方法から生じる労働災害リスクへの対応については、安衛法に基づく既存の対策の枠組みを活用する。

個人事業者自身に自らの健康障害・危険防止の保護を規定することは、労働者を対象とする安衛法の原則を超えるとし、ガイドラインによる対応を求める方向を示した。
検診の受診や安衛意識の向上、メンタルヘルス不調の予防などを求める「個人事業者等の健康管理ガイドライン」を活用し、必要に応じて拡充するイメージだ。

安衛法での個人事業者の取り扱いについても議論した。
個人事業者は労働者を使用しない者であり、法人か否かは問わないとする案を提示。
さらに、建設業では個人事業者に加え、中小事業主・役員なども業務上の災害により死亡していることから、今事業者と類似の作業を自ら行う中小事業主なども含めた「個人事業者等」の保護を議論していく。


建通新聞社 2024/04/30 記事

【参考資料】



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