特別加入健康診断って何?対象業務をわかりやすく解説!

この記事はこんな方におすすめです
  • 労災保険の申込画面で「健康診断に関する質問」が出てきて困っている
  • 自分の仕事が健康診断の対象になるのか知りたい
  • 質問の意味がよく分からず、手続きが進められない

 

 

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一人親方様にとって、労災保険の加入は悩ましい問題です。

 

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1.はじめに

 手続きを進めていくと、「健康診断に関する質問」が出てきて、「これって何だろう?」「自分の仕事は当てはまるのかな?」と手が止まってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

これらの質問は、お仕事の内容によっては、労災保険の補償を安心して受けるために、特別加入時健康診断が必要になるかどうかを確認するためのものです。 今回は申込の際に出てくる4つの質問について、丁寧に解説していきますね。


2.「粉じん作業を通算3年以上従事していますか?」

この質問は、「じん肺(じんはい)」という肺の病気に関するものです。

岩石や鉱物、土、セメントなどを削ったり、砕いたりする際に発生する細かい粉じんを、長期間吸い込むことで起こる病気です。

この病気は、症状が出るまでに時間がかかるため、お仕事で粉じん作業をされていた方には、労災保険に加入する前に特別加入時健康診断を受けていただく必要があります。


【判断のポイント】

作業内容: 岩石やコンクリートの切断・研磨・はつり、トンネルの掘削、セメント袋の積み下ろし、石材加工、石工、左官など


期間: これまでの仕事で、合計3年以上、粉じんの出る作業をしてきたかどうか

「3年以上」というのは、今の仕事だけでなく、過去のお仕事もすべて含めて判断してくださいね。


【具体的な作業例】

  • 石材を加工する石工さん
  • コンクリートを砕くはつり工さん
  • トンネルを掘る作業

3.「振動工具を通算1年以上使用していますか?」

この質問は、「振動障害」に関するものです。
チェーンソー、さく岩機、コンクリートブレーカーなど、手や腕に強い振動が伝わる工具を、継続して使い続けることで起こる神経や血管の病気です。手や指のしびれ、冷感などの症状が出ることがあります。 


【判断のポイント】

使用する工具: さく岩機、チッピングハンマー、コンクリートブレーカー、チェーンソー、エンジンカッター、研削盤など 


期間: これまでの仕事で、合計1年以上、上記のような工具を使っていたかどうか 

「1年以上」というのは、毎日使っていなくても、期間として1年以上使っていれば対象となります。 


【具体的な工具の例】

  • さく岩機やコンクリートブレーカーで解体作業をする方
  • チェーンソーで木材を切る方
  • エンジンカッターで道路を切る方 

【補足】

コンクリートを砕く作業などでは、粉じん作業と振動工具使用作業の両方に当てはまる方が多くいらっしゃいます。ご自身の作業を振り返り、両方に当てはまる場合は、どちらも「はい」とご回答ください。


4.「鉛業務を通算6か月以上従事していますか?」

この質問は、「鉛中毒」に関するものです。

鉛は、塗料やはんだなどに含まれることがある物質です。鉛が含まれた物質を扱う作業をすることで、鉛を吸い込んだり飲み込んだりすることで、体に悪影響を及ぼす可能性があります。


【判断のポイント】

作業内容: 有機溶剤業務の中で、鉛が含まれている塗料やはんだを扱う作業など


期間: これまでの仕事で、合計6か月以上、上記のような作業をしてきたかどうか


【具体的な作業例】

  • 鉛が含まれた塗料を扱う塗装作業 鉛はんだを使う作業

5.「有機溶剤を通算6か月以上使用していますか?」

この質問は、「有機溶剤中毒」に関するものです。

シンナーやトルエンなど、ペンキや接着剤などに含まれる化学物質(有機溶剤)を扱うお仕事で起こる健康被害です。
これらの物質を吸い込んだり、皮膚に触れたりすることで、めまいや吐き気、頭痛などを引き起こすことがあります。


【判断のポイント】

作業内容: 塗料の吹き付け、印刷、接着剤の塗布、洗浄、タンク内の清掃など


期間: これまでの仕事で、合計6か月以上、上記のような有機溶剤を扱う作業をしてきたかどうか


【補足】

お仕事で使われている塗料などに亜鉛が含まれている場合、次の「鉛業務」にも当てはまりますので、必ず両方に「はい」とお答えください。


6.「除染等作業をしますか?」

これは、福島第一原発事故の際に発生した除染作業に関するものです。

除染等作業とは、放射線業務のことです。該当する作業は、健康管理をしっかり行う必要があるため、労災保険に特別加入する際に確認させていただいております。


【判断のポイント】

作業内容: 東日本大震災の除染作業など、放射線にさらされる可能性のある作業をしているかどうか

現在、除染作業をしている方、または今後する予定がある方は「はい」とお答えください。


7.健康診断が必要な場合の「手続きの流れ」について

申込の際に、健康診断が必要な業務に「はい」とご回答いただいた方には、下記のような流れで手続きを進めていきます。


【仮加入】

申込内容を当団体で確認後、「仮加入」となります。

元請けさんに労災番号の提出が必要な場合でも、仮の番号で対応できることがありますので、一度確認してみてください。

この仮加入の段階で、当団体から「特別加入時健康診断依頼書」をお送りします。この依頼書を持って、国が指定した「診断実施機関」(病院)で健康診断を受診していただきます。

期間中に受診していただく必要がありますので、ご自身のスケジュールに合わせて、病院の予約をお願いいたします。診断にかかる費用は国が負担しますが、病院までの交通費はご本人様のご負担となります。


【本加入】

健康診断の結果が当団体に届き、特別加入が承認されれば「本加入」となります。

健康診断の受診から本加入の承認まで、およそ3か月ほどかかります。この期間は、ご加入が「仮」の状態となりますので、ご了承ください。


【健康診断の結果について】

健康診断の結果、以下のように判断されることがあります。

就業が難しく、療養に専念する必要があると判断された場合
→ 業務の内容にかかわらず、特別加入はできません。

他の業務に転換する必要があると判断された場合
→ 健康診断の対象となった業務以外については、特別加入が認められます。


【保険給付が受けられない場合】

労災保険に加入する前にかかった病気や、加入前の業務が原因で発症したと認められる病気については、労災保険の給付は受けられません。
この点を理解した上で、特別加入の手続きを進めてくださいね。


8.まとめ

健康診断に関する質問は、ご自身の健康を守るための大切なものです。

「よく分からないから適当に答えておこう」「面倒くさそうだから全部『いいえ』にしておこう」と考えてしまうかもしれません。
しかし、もし虚偽の申告をしてしまうと、いざお仕事で病気になったときに、労災保険が適用されないという、大変なことになりかねません。
ご自身の安心のために、当てはまる場合は正直に「はい」とお答えいただき、必要な手続きを進めていきましょう。

なお、当団体では健康診断が必要な方の場合、年間での加入をお願いしております。年度末に継続手続きをしていれば、再度健康診断を受ける必要はありません。ですが、一度支払いが途切れてしまったり、継続手続きをしないと、改めて健康診断が必要になりますのでご注意ください。

もし、ご自身の業務が当てはまるかどうか判断が難しい場合は、いつでもお気軽にご相談ください。専門のスタッフが丁寧にご案内させていただきます。


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監修者の紹介

林満

元厚生労働省 厚生労働事務官
厚生労働大臣承認 愛知労働局承認
一人親方労災保険RJC アドバイザー

林 満

はやし みつる

1971年に労働省(現厚生労働省)愛知労働基準局に入局。以降、名古屋東労働基準監督署や瀬戸労働基準監督署、愛知労働局で労災補償課および労働保険適用課にて奉職。適用指導官、職業病認定調査官、労災第一課長、労災保険審査官、労災管理調整官を歴任。特に特別加入制度の手続きや給付に関する相談対応に精通し、職業病認定調査官や労働者災害補償保険審査官としても活躍。2022年までの50年以上にわたる実務経験を持つ労災保険のエキスパート。現在はスーパーゼネコンの安全協力会において特別加入の相談指導を行っている。