隠せば罰金、使えば信頼 一人親方労災保険の「正しい使い方」

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この記事はこんな方におすすめです
  • 現場で一人親方が「安全不確認」で怪我、対応に迷っている元請け担当者様
  • 「自分のミスだからいいです」という一人親方の言葉をそのまま受け入れようとしている方
  • 協力会社(一人親方)に労災保険の加入を徹底させたい経営者様
はじめに

現場で事故が起きた際、一番困るのは「情報の抱え込み」です。

本人のミスが原因の事故であっても、国の労災保険の給付が制限されることはありません。

もし一人親方さんが「自分の不注意だから…」と遠慮して報告を怠ったり、労災申請を渋ったりしても、元請けとしては「正しく申請してもらう」のが正解です。

 

1.「本人の過失」は不支給の理由になりません!

現場監督として、「不注意で怪我をした人に労災を使わせると、こっちの責任を問われるのでは?」と不安になるかもしれません。

しかし、国の特別労災である「一人親方労災保険」は、本人の過失の有無にかかわらず、仕事中の事故であれば一律で補償される仕組みです。

 

脚立の固定忘れ

足元の端材に気づかず、資材を運搬中に転倒した

電動工具の取り扱いミスで指を切った

 

これらはすべて「わざと」でない限り、治療費や休業補償の対象となります。

元請け側が「君のミスなんだから我慢してくれ」と言う必要はまったくないのです。

 

2.労災隠し(怪我を隠すこと)の致命的なデメリット

「大ごとにしたくない」という理由で、一人親方に健康保険で治療を受けさせたり、事故をなかったことにしたりするのは、元請けにとって非常に大きな経営リスクを伴います。

 

法的な処罰の対象になる(労災隠し)

事故を隠蔽したり、虚偽の報告をしたりすることは「労災隠し」という立派な犯罪です。

発覚すれば労働安全衛生法違反に問われ、罰金等が科される可能性があります。

 

社会的信用の失墜と指名停止

労災隠しが明るみに出れば、公共事業の指名停止処分を受けたり、民間案件でも「コンプライアンスの欠如」として契約を打ち切られるなど、会社の存続に関わる事態を招きます。

 

後日、損害賠償トラブルに発展する

事故当時は「自分が悪いから」と言っていた一人親方も、数年後に後遺症が出た際、「あの時労災にしてくれなかったせいで生活が苦しい」と訴えを起こすケースは少なくありません。

正しく労災を申請しておくことは、元請けを将来のトラブルから守ることでもあるのです。

3.正しく労災をすすめることで「信頼される元請け」に

逆に、現場で事故が起きた際に、落ち込む一人親方に対し、「国の保険があるから、しっかり治して戻っておいで」と背中を押せる元請けは、業界内で非常に高い信頼を得られます。

 

しっかり労災請求をすすめる元請けは、「下請けや協力会社を大切にする会社」として口コミで評判が広がり、結果として質の高い職人が集まりやすくなることも。

隠し事のない現場は安全意識も高まり、大きな事故の抑制という最高のサイクルを生み出します。

4.まとめ

一人親方の不注意による事故であっても、元請けが負い目を感じて隠蔽する必要はありません。

 

本人の過失があっても労災は下りる。

隠すことは、会社にとって致命的なリスク。

正しく申請させることが、元請けとしてのリスク管理。

 

「一人親方さん、まだ保険に入っていないな」「今の現場の安全管理を強化したい」とお考えの元請け様。

協力会社様への「一人親方労災保険RJC」への加入推奨は、現場と経営を同時に守る賢い選択です。

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監修者の紹介

林満

元厚生労働省 厚生労働事務官
厚生労働大臣承認 愛知労働局承認
一人親方労災保険RJC アドバイザー

林 満

はやし みつる

1971年に労働省(現厚生労働省)愛知労働基準局に入局。以降、名古屋東労働基準監督署や瀬戸労働基準監督署、愛知労働局で労災補償課および労働保険適用課にて奉職。適用指導官、職業病認定調査官、労災第一課長、労災保険審査官、労災管理調整官を歴任。特に特別加入制度の手続きや給付に関する相談対応に精通し、職業病認定調査官や労働者災害補償保険審査官としても活躍。2022年までの50年以上にわたる実務経験を持つ労災保険のエキスパート。現在はスーパーゼネコンの安全協力会において特別加入の相談指導を行っている。