【交通事故】仕事中の運転で事故!「車の保険」と「労災」どっちを使うべき?重複はできる?

この記事はこんな方におすすめです
  • 仕事の移動中に交通事故に遭ってしまった一人親方様
  • 「相手の車の保険」と「自分の労災保険」どっちを使えばいいか迷っている方
  • 両方の保険から治療費や休業補償をもらえると思っている方
はじめに

背景
北海道で建設業を営むS様(仮名)。
仕事中に現場へ向かう途中、雪道で対向車がスリップし、S様の車線にはみ出してきて正面衝突する交通事故に遭われました。
胸や首に痛みを覚え、病院で受診した後、当組合へご連絡をいただきました。

問い合わせ内容
「仕事の移動中に交通事故に遭いました。
相手が100%悪い事故なので、相手の車の保険(自賠責)で治療費などは出ると思います。
ただ、仕事中だったので、RJCの労災保険にも連絡しておいた方がいいですか?
あと、車の保険と労災保険、両方からお金をもらうことはできますか?」

結論
仕事中の交通事故であっても、「車の保険(自賠責)」と「労災保険」を二重に受け取ることはできません(重複不可)。
どちらか一方を選ぶ必要があります。
今回は相手の過失が大きい事故だったため、S様は「車の保険」を使うことになりました。

1.事故に遭った時、何に一番困るのか?

S様のお悩みは、「使える保険の整理がつかないこと」でした。

報告の必要性:
相手の保険で直すとしても、労災組合に報告は必要なのか?

二重取りの疑問:
「仕事中のケガ」なのだから、車の保険とは別に、労災からも休業補償などが出るのではないか?(損をしたくない)

という疑問をお持ちでした。
特に事故直後は気が動転しているため、誰に何を連絡すべきか混乱しがちです。

2.相手がいる事故、どう対応するのが正解?

お電話にて事故状況(日時、場所、ケガの具合)を確認し、制度の仕組みをご案内しました。

1. 二重取りはNG(支給調整)
国のルールで、同じ事故のケガに対して、自賠責保険と労災保険の両方から満額の補償を受けることはできません。
どちらかを優先して使うことになります。

2. どちらを選ぶか
S様の場合、相手がセンターラインを割ってきた「100対0(相手が悪い)」の可能性が高い事故でした。
一般的に、相手がいる事故では「自賠責保険(相手の保険)」の方が、慰謝料などが含まれるため補償が手厚いケースが多いです。

3. 手続きについて
「相手の車の保険を使います」とのことでしたので、その場合は当組合への書類提出や請求手続きは一切不要であることをお伝えし、安心いただきました。

3.似たようなケースでの注意点

今回は「もらい事故」でしたが、以下のようなケースでは対応が変わります。

「単独事故(自損事故)」:
電柱にぶつかった、溝に落ちた等の場合は相手がいませんので、迷わず「労災保険」を使いましょう。

「通勤途中」:
現場への移動中だけでなく、家から現場への通勤中も労災(通勤災害)の対象になります。
状況によって「どっちが得か」が変わる場合もありますので、判断に迷ったらまずはご相談ください。

4.まとめ

仕事中の交通事故でも、「車の保険」と「労災」はダブルでは使えません。
基本的には「どちらか一方」を選んで請求することになります。
もし事故に遭ってしまい、「どっちを使えばいいの?」「手続きはどうするの?」と迷ったら、病院にかかる前に一度お電話ください。
最適な方法をアドバイスいたします。

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監修者の紹介

林満

元厚生労働省 厚生労働事務官
厚生労働大臣承認 愛知労働局承認
一人親方労災保険RJC アドバイザー

林 満

はやし みつる

1971年に労働省(現厚生労働省)愛知労働基準局に入局。以降、名古屋東労働基準監督署や瀬戸労働基準監督署、愛知労働局で労災補償課および労働保険適用課にて奉職。適用指導官、職業病認定調査官、労災第一課長、労災保険審査官、労災管理調整官を歴任。特に特別加入制度の手続きや給付に関する相談対応に精通し、職業病認定調査官や労働者災害補償保険審査官としても活躍。2022年までの50年以上にわたる実務経験を持つ労災保険のエキスパート。現在はスーパーゼネコンの安全協力会において特別加入の相談指導を行っている。