1円も出ない!?「モノ」は労災じゃ直せない?

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この記事はこんな方におすすめです
  • 一人親方に現場を任せている元請けの工務店・建設会社様
  • 現場での事故トラブルを未然に防ぎたい安全管理担当者様
  • 労災保険と賠償保険の違いを再確認したい方
はじめに

現場を支える一人親方さんが、もし作業中に建物を傷つけたり備品を壊したりしてしまったら……。

この場合、国の特別労災である「一人親方労災保険」はケガに対する補償のみで、物損は一切対象外です。

元請けとして知っておくべきリスク管理のポイントを説明していきます。

 

1.勘違い厳禁!労災保険で「物の修理」はできません

現場で事故が起きると「労災に入っているから大丈夫だろう」と考えがちですが、これは大きな間違いです。

 

労災保険(国の特別加入): 一人親方自身の「ケガ」や「治療費」を補償するもの。

物損事故: 現場の資材、施主様の家、近隣の車などを壊した損害。

 

一人親方労災保険は、あくまで「人」の損害をカバーする国の制度。

現場の「物」を壊した際の修理代は、1円も支払われないということを正しく理解しておく必要があります。

2.物損事故が起きたとき、責任はどこにある?

一人親方は「個人事業主」ですので、基本的には本人が賠償責任を負うことになります。

しかし、現場を監督する元請け会社様も「使用者責任」や「運行供用者責任」を問われるケースが少なくありません。

 

現場に必要だから言われるがまま労災保険に入った!という一人親方さんの場合、

自分が加入している保険の内容を正しく把握していないことも多いです。

事故が起きてから「労災で直せると思っていた」とトラブルにならないよう、事前の確認が重要です。

3.元請けとして取るべき「リスク回避」の対策

現場のトラブルをスムーズに解決するために、元請け会社様ができる対策は以下の2点です。

 

加入状況の再確認: 一人親方労災保険への加入はもちろん、別途「賠償責任保険」が必要であれば確認・周知をする。

安全教育の徹底: 「労災はケガだけ。物損は自己負担になる」という事実を、現場入場時に改めて周知する。

 

「知らなかった」では済まされないのが現場のルール。

一人親方さんに正しく保険の仕組みを理解してもらうことが、巡り巡って元請け会社様を守ることにつながります。

4.まとめ

一人親方労災保険は、建設業の現場で働く方の命と健康を守るための大切な「国の特別労災」です。

しかし、物損事故についてはカバーできません。

 

現場の安全管理を徹底し、一人親方さんには「自分のケガは国の労災で、物の損害は民間保険で」という区別をしっかり持ってもらうことが、円満な現場運営のコツです。

 

下請けの一人親方様に、安心して現場に入ってもらうための第一歩。

まだ労災保険に加入していない一人親方様がいらっしゃいましたら、ぜひ一人親方労災保険RJCをご紹介ください。

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監修者の紹介

林満

元厚生労働省 厚生労働事務官
厚生労働大臣承認 愛知労働局承認
一人親方労災保険RJC アドバイザー

林 満

はやし みつる

1971年に労働省(現厚生労働省)愛知労働基準局に入局。以降、名古屋東労働基準監督署や瀬戸労働基準監督署、愛知労働局で労災補償課および労働保険適用課にて奉職。適用指導官、職業病認定調査官、労災第一課長、労災保険審査官、労災管理調整官を歴任。特に特別加入制度の手続きや給付に関する相談対応に精通し、職業病認定調査官や労働者災害補償保険審査官としても活躍。2022年までの50年以上にわたる実務経験を持つ労災保険のエキスパート。現在はスーパーゼネコンの安全協力会において特別加入の相談指導を行っている。